こんにちは。
中途採用の筆記試験には多様な種類がありますが、業界や職種に関わらず広く使用されているのが「SPI」です。
特に、多くの大手企業が採用するWEBテスト形式の「SPI」である「WEBテスティングサービス」は、転職を検討している方にとって非常に重要な試験です。
この記事では、これから受ける筆記試験が「WEBテスティングサービス」を含むかどうかを即座に判断する方法から、実際の有効な試験対策まで、私の経験をもとに説明しています。
目次
WEBテスティングサービスの手ほどき
まずは、WEBテスティングサービスの基本について理解を深めましょう。
SPIについて理解する
「WEBテスティングサービス」とは、ブラウザを通じて実施されるSPI(スタンダード・パフォーマンス・インデックス)の一種です。
SPIとは何かを理解することが、まずは重要です。
学生時代に就職活動を経験した方なら、SPIを受験した記憶があるかもしれません。SPIは、就職や転職の際に広く利用される試験です。
SPIとは
SPIは、リクルートマネジメントソリューションズが企業向けに提供している筆記試験のパッケージです。
したがって、SPIは筆記試験全般を指す言葉ではなく、特定の試験のことを指します。
主にSPIは就職活動中の新卒者を対象としていますが、転職希望者向けの試験も含む、いくつかの種類があります。
SPIの構成を理解する
SPIは「基礎能力適性検査(言語および非言語)」と「性格適性検査」の二つの試験で構成されています。そのWEBテスト版である「WEBテスティングサービス」も構成は全く同じです。
企業は基礎能力適性検査の結果から受験者の基礎学力を把握し、性格適性検査の結果から求職者の職種適性や企業風土へのフィット性を総合的に評価しようとしています。
SPIは、国語・算数などの能力を測る「基礎能力適性検査」と、性格の特性を測る「性格適性検査」で構成されています。
このうち「基礎能力適性検査」は言語問題と非言語問題に分かれています。
言語問題は、基礎的な語彙力や文章の読解力が求められ、「二語の関係」、「語句用法」「長文読解」などのジャンルから出題されます。非言語問題は、基礎的な計算能力、論理的思考が求められ、「比率」「図表読み取り」「確率」「推論」などのジャンルから出題されます。
https://job.career-tasu.jp/2019/guide/exam/point/step02.html
ターゲットと出題範囲を理解する
SPIでは、対象者によって出題範囲が異なります。具体的には以下の4つの試験があり、それぞれの目的に合わせて問題が出題されます。
- 転職者向けのSPI:SPI-G
- 新卒者向けのSPI:SPI-U
- 高卒者向けのSPI:SPI-H
- 英語検査のSPI:ENG
転職者向けには、通常「SPI-G」が用いられます。
新卒者向け(SPI-U)との差を理解する
多くの読者が「SPIは就活の時に受験したから大丈夫」と考えているかもしれません。
念のため、新卒者向けのSPI-Uと転職者向けのSPI-Gの違いを把握しておきましょう。
結論から言うと、両者はほとんど同じです。ただし、基礎能力適性検査の出題範囲には差があります。
SPI-Gでは、SPI-Uの出題範囲に加え、「縮尺」と「方角」という非言語の項目が追加されています。その結果、出題範囲が若干広がり、少し難易度が上がっています。
しかし、出題形式や他の要素に違いはありません。多くの方が一度は経験しているだろう試験なので、試験そのものを恐れる必要はありません。
非言語問題は、中学校や高校の初級レベルの知識があれば解ける問題で、難しくはありません。制限時間があるのが厄介ですが、解法にさえ慣れてしまえば高得点も狙えます。数学が苦手な方でも心配無用です。対策方法については後ほど説明します。
WEBテスティングサービスの見抜き方
筆記試験の案内に「今からあなたが受験する試験はWEBテスティングサービスです」なんて丁寧に書かれていません。それが「WEBテスティングサービス」であるかどうかを一目で判断する方法をお伝えします。
見抜く方法は簡単です。
就活でも同じですが、筆記試験対策で大事なことは、自分がこれから受験するテストが何であるかを理解することです。
筆記試験を見抜くポイント
メール本文のURLに「arourua」の文字列があるかどうか
つまり、試験案内が記載されたメール本文に「arorua.net」という文字列が含まれるリンク先URLがある場合、それは「WEBテスティングサービス」へのリンクであることを意味しています。
私が転職活動中に受け取った筆記試験の案内メールを見ていただきたいと思います。メールを受信した際は、本文中のリンク先URLに注意してください。
こちらが、私が受け取ったメールの本文です(※2015年に受信したものです)。
◆あなたのIDはXXXXXXXXです。
◆下記URLhttp://arorua.net~(試験を受験するためのURL)
※URLをクリックしても正しく表示されない場合は、URLをコピーし、
ブラウザのアドレスバーにはりつけてください。◆受検可能期間
XXXX年X月X日 X時XX分 ~ XXXX年X月X日 23時59分
◆検査の所要時間は約65分です。
※事前の環境確認の時間は含まれておりません。
時間に余裕をもって受検いただくことをお勧めいたします。
(過去に受け取ったメール本文)
受験前の注意事項
受験可能期間
WEBテスティングサービスの「受験可能期間」には注意が必要です。
受験案内のメールに記載されているように、この期間内に受験することが求められます。
試験対策を行う際は、受験可能期間を見落とさないよう特に注意してください。この期間を逃すと、受験資格を失い、取り返しの付かない状況になることがあります。
しかし、通常、受験可能期間は十分に長く設定されているので、まったく焦る必要はありません。
受験案内を受け取った後でも、対策を開始するのに遅すぎることはありません。冷静に準備を進めましょう。
受験は一度きり
WEBテスティングサービスの受験は一度きりです。
この試験は毎回異なる問題が出されます。苦手な問題が多く出題されても、再受験の機会はありません。運の要素も試験結果に影響します。
試験を開始したら、最後まで完了させる必要があります。計画的に準備し、集中して試験に臨むことが大切です。
通信エラーなどは自己責任
WEBテスティングサービスは自宅で手軽に受験可能ですが、ハードウェアやネットワークの通信エラーなどのトラブルは利用者の責任となります。
試験では多数の問題が短時間で出題されるため、時間管理が重要です。また、不適切な動作環境では画面の読み込みに時間がかかったり、試験中に画面がフリーズするなどの問題が発生する可能性があります。
こうしたトラブルが試験の中断を引き起こすと、受験結果に悪影響を及ぼすことがあります。
PCやインターネット環境が不安定な場合は、安定したWi-Fiスペースで落ち着いて受験することをおすすめします。
受験に必要な準備物
WEBテスティングサービスの案内を受け取った際には、以下の3つのアイテムを準備してください。
- 電卓
- 筆記用具
- メモ帳
非言語試験では、電卓の使用が許可されています。試験開始前に、これらのアイテムを用意することを忘れないようにしましょう。
WEBテスティングサービスの攻略方法
WEBテスティングサービスの試験は基礎能力適性検査と性格検査の二つのセクションに分けられます。
まず、基礎能力適性検査に焦点を当て、試験対策を詳しく説明します。
SPI対策本を利用する
SPI対策本を使った試験対策が非常に効果があります。
SPI対策本には豊富な例題や練習問題が含まれており、繰り返し解くことで、問題に慣れること、時間を意識したトレーニングが行えます。
SPI対策本の価格は1000円くらいなので、この程度の投資で試験に合格するのであれば損は無いと思います。
楽天ブックスやアマゾンでSPI対策本を検索し、自分に適したものを選びましょう。
私が使用して成功したSPI対策本も紹介します。
おすすめの対策本
私の場合、2冊とも買いました。
正直、2冊もいらないと思いますので、どちらか気に入った対策本を1冊用意してください。
タイトルには「SPI」とありますが、これらの対策本はWEBテスティングサービスの試験にも適用できます。なお、現在のSPIは「SPI3」であり、転職者や中途採用向けのSPIは「SPI-G」であることに注意してください。
これが本当の転職者用SPI3だ! テストセンター・SPI3-G対応 改訂3版/講談社/SPIノートの会
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転職者用SPI3攻略問題集 テストセンタ-・SPI3-G対応 改訂2版/洋泉社/SPIノ-トの会
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ネットでサッと注文
SPI対策本は実際の書店でも購入可能ですが、転職者向けのSPI-3G対応の対策本はあまり見かけません。
これは、新卒者向けの対策本と比較して需要が少ないため、在庫を置かないところが多いからだと思います。
新卒者向けの対策本は出題範囲が狭いため、代わりに使用することはおすすめしません。したがって、手っ取り早く手に入るオンラインショップでの購入が便利です。新品でなくても、中古の対策本を使用することに問題はありません。
対策本の使い方
SPI対策本の効果的な使い方を説明します。
SPI対策本は例題と練習問題を含んでおり、WEBテスティングサービスの問題はパターン化されていることが多いです。そのため、例題や練習問題を繰り返し問題を解くことでで、試験に慣れていきます。その結果、試験でも高得点が狙えるようになります。
言語問題も非言語問題も中学校から高校初級レベルの内容で、難易度の高い問題は滅多に出ません。とにかく問題と解答方法に慣れることが大切です。
就職活動でWEBテスティングサービスやテストセンターを経験したことがある人も、例題や練習問題を使って最低でも1周することをおすすめします。本番での安心感が違います。
時間管理が肝心
この試験の本質的な難しさは問題自体ではなく、短い時間で大量の問題を処理しなければならないところです。
そのため、学力を測るというかは、多くの問題を連続で出題される状況でも、ストレスを受けず、効率的かつ冷静に処理する能力を試す試験だと感じます。
多くの問題を短時間で解く必要があるため、日頃から例題や練習問題を解く際には時間を計ることが重要です。試験の時間感覚を身につけ、反復練習を通じて問題を見た瞬間に解法を思いつく訓練をすれば、本番でも安心できます。
反復と苦手分野の集中
SPI対策本を入手したら、まずは1周、すべての問題を解いてみます。
そうすることで、得意な分野と苦手な分野がはっきりと分かってくるはずです。
転職活動は時間が限られており、その間は現職も疎かにできず、筆記試験の準備に多くの時間を割くことは現実的ではないです。
得意な分野に時間を費やすというよりも、苦手な分野を重点的に改善することが効率も良く、試験対策という点では重要です。苦手な部分を集中的に対策することで、試験での得点アップが期待できます。
試験本番で焦らないためのポイント
試験本番で焦らないようにするためのポイントをいくつか紹介します。
時間がかかる問題はスキップ
え?そんなことも許されるのかと疑問に思う方もいるでしょう。
通常の試験では、問題をスキップすることは考えられないかもしれません。
しかし、この試験では、解くまでに時間がかかる問題に出会ったら、迷わずスキップすることをおすすめします。限られた時間内で最大の成果を出すためのマインドセットが求められていると考えると、全ての問題に答える必要はないです。
解けそうにない問題に時間を割くよりも、解ける問題に集中することで試験合格を掴みましょう。
リラックスできる状態か
WEBテスティングサービスは、ストレス耐性を測る試験でもあると考えます。
限られた時間内で試験時間が刻々と減っていく中、平常心を保ちながら問題を解き進めなければなりません。したがって、試験本番ではリラックスして、イライラせずに最後まで集中して取り組むことが重要です。
イライラしてしまい集中力が途切れがちな人は特に注意が必要です。イライラが原因で試験を途中で放棄したり、スコアが伸び悩むリスクがあります。
繰り返しになりますが、試験は急ぐ必要はありません。解けない問題が出たら、迷わずにスキップしても良いのです。そうすることで試験中のストレスから解放されると思います。
忙しい人に向けて
これまでに対策本を使用した試験対策法について説明してきましたが、試験日が近づき試験対策に十分な時間が使えない方もいるでしょう。
そんな方々には、WEB上で直ちに対策を開始できる方法があるので紹介します。
Study Proというブラウザ上でSPI対策ができるサイトがあります。このようなオンラインリソースを利用すれば、試験準備を素早く進めることが可能です。
例えば、Study Proを使えば、通勤時間などの隙間時間を利用して、気軽にSPI対策を進められます。
他にも似たようなサイトはありますが、Study Proは機能が他よりも優れていて、圧倒しているように思います。また、スマートフォンアプリも提供されており、これが非常に便利です。
対策本とStudy Proを併用することで、より効果的な学習が可能です。対策本で苦手な分野が明らかになったら、Study Proで集中的に学習することで、試験対策を効率化できます。
WEBテスティングサービスの合格基準
多くの方がWEBテスティングサービスの合格基準について関心を持っていると思います。
一般的に、転職時の筆記試験には通常、明確な「合格基準」が設けられているわけではありません。
新卒の就職活動の場合には、応募者が多数のため、多数の応募者の中から面接に呼ぶ候補者を選び出す必要があり、だから筆記試験が「足切り」として機能することがありました。
しかし、転職の場合、採用は部署単位で行われ、応募者数も少ないため、職務経歴やスキルなどが選考の要素となります。
そのため、筆記試験を終えた後は、結果に一喜一憂するよりも、それを通過点と見なし、次の面接の準備に集中することが大切です。
性格検査の対策も忘れずに
これまで基礎能力適性検査の対策について説明してきましたが、性格検査の対策も忘れずに行いましょう。
性格検査では、応募者が企業の理念、社風、環境に合っているか、求められる人物像に適合しているか、ストレス耐性などが評価されます。
しかし、その結果の利用方法は、採用を行う企業によって異なります。
多くの場合、面接の参考資料として使用されると思われます。仮に、自分を良く見せるために嘘の回答をすると、一貫性がなくなり自らを陥れる可能性があるため注意が必要です。
対策としては、応募した求人をよく分析し、その部署で、その職種で仕事をうまくこなす人をイメージしながら、その人になりきったつもりで回答することです。ただし、やりすぎは逆効果になる可能性があるため、自然体で回答することが大切です。
筆記試験情報の入手方法
ここまでSPIやWEBテスティングサービスについて取り上げてきました。それ以外の試験についてはどうでしょうか?
転職活動では、企業ごとの筆記試験情報の入手が難しいという現実があります。
新卒採用では、多くの学生が同時期に試験を受けるため、就活プラットフォームやSNSで情報が出回り、比較的簡単に情報が入手出来ます。しかし、中途採用では応募者自体が少なく、情報収集が困難です。
応募先の企業の筆記試験に関する情報が欲しい場合、転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントであれば、過去の応募者の情報を持っている可能性もあるので、情報を入手出来るかもしれません。
【入門編】初めて転職活動をする人にも分かるように転職エージェントの概要と仕組みを解説!
補足
マイナビの過去の調査によれば、転職活動で1人が応募する企業数は平均して8.4社になります。
転職活動をする際、企業がどのような試験を行っているかは、実際に受けてみないとわからないことが多く、8社に応募すれば、8種類の異なる試験を受けることになるかもしれません。
この記事で取り上げた「WEBテスティングサービス」は、多くの筆記試験の中の一つですが、今でも主要な試験の一つです。
この記事をぜひ参考にして、試験に自信を持って臨んでください!