選考を経て、企業から内定をもらったなら、年収やその他の条件面について交渉を行い、納得できるものであれば内定を受諾することが一般的です。
内定を受けたら、次は退職の準備段階に進むことになります。退職は転職活動の一環であり、新たなキャリアに向けた重要なステップです。
最近では、退職代行サービスも登場しており、お世話になった会社を辞めることに対する後ろめたさや人間関係のこじれ、上司からの叱責への不安から、また他にも事情があるかもしれませんが、代行サービスを選ぶ人もいます。
この記事では、退職代行サービスに頼らず、自分自身が上司に退職の意向を伝える際のポイントについて詳しく説明します。
退職の意思を伝える際のポイント
退職の意思を固めたら、現在の職場に退職の意向を伝える段階がやってきます。退職届を提出するよりも、退職の意思を明確に伝えることが重要です。
この際、いくつかの重要なポイントが存在し、これらを押さえたうえで円滑に伝える方法を考えてみましょう。
1. 勇気を持つことの重要性
退職の決断には勇気が必要です。
退職の決意に自信を持つことは、成功への第一歩です。
他人が何を言おうとも、自分がしたいと思ったことについては、他人の意見に左右される必要はありません。冷静になって考えてみれば分かることかもしれませんが、うまく退職できるかどうか分からない不安や疑念が退職の決断に影響を与えているかもしれません。
最終的には勇気を振り絞ることが必要です。
2. 退職の意志は誰に伝えるべきか
退職の意志を伝える相手についてですが、通常、最初に伝えるべき相手は直属の上司（課長クラス）です。直属の上司を飛び越えて、さらにその上の上司（部長クラス）や役員に伝えることはマナー違反とされています。
また、上司よりも先に仲の良い同僚に伝えることは絶対に避けるべきです。
3. 切り出すタイミングと切り出し方
退職の意思を上司に伝える際のタイミングと切り出し方についてです。
上司に退職の意思を伝える瞬間は、何度経験しても緊張と後ろめたさが伴います。現在、私は5社目の職場に勤務しており、退職活動は4回経験していますが、それでもあの瞬間だけは慣れることができませんし、できることならもう経験したくありません。
しかし、大切なことは誰かが代わりに伝えてくれるわけではなく、時間が問題を解決してくれるわけでもないことです。切り出し方は上司との関係性によって異なりますが、自分にとって最も切り出しやすい状況を考えてみることが重要です。
もし切り出し方に困っているのであれば、上司が一人になる状況を狙うことを検討してみてください。例えば、「私事ですが、今少しお時間をつくれませんか？」といった言葉でお願いし、個人的な話ができる静かな場所に誘導することができます。社会人経験が豊富な上司であれば、あなたの声のトーンや表情から「退職」の話だと察してくれることが多いでしょう。その結果、上司から静かな場所へと誘導されることもあるかもしれません。退職の話を切り出すタイミングが難しい場合は、上司の一日の行動パターンを観察し、一人になる瞬間を見極めてみることも有効です。
5. 退職は権利である
退職を考える際、ついついネガティブな想像が頭に浮かぶことはよくあります。
「今日こそは言わなければ･･･」と分かっていても、「転職することに叱責されたらどうしよう」、「引き留められるかなあ」といった不安や悪いシナリオが頭をよぎります。
中には、部下が退職することが分かった瞬間に上司の態度が変わるケースもあると聞きますが、こうした上司とのつながりも、退職までの一時的なものとなります。その間、堪え忍ぶしかありません。
しかし、法的には、勤め先が退職を阻止し転職を妨げることはできません。ですから、退職の意思が固まったのであれば、ためらわずにその意思を伝えるべきです。退職は権利であり、それを実現するためには自信を持って行動することが大切です。
6. 意思の固さを貫く
退職の意思を伝える際の注意点として、曖昧な表現を避けることが非常に重要です。明確に退職の意思を伝えることが肝心です。
時には他人の気持ちを気にして、「退職を考えている」とか「退職を検討している」といった曖昧な表現を使いたくなることもあるかもしれません。しかし、この瞬間には絶対に言い切りの形で、「退職します」と明確に伝えるべきです。
なぜなら、曖昧な表現で伝えると、相手にはっきりとしたメッセージが伝わらないばかりか、自分が本当に退職したいのかどうかも伝えられません。さらに、曖昧な表現は、迷っているように受け取られ、上司に説得の余地を与えてしまう可能性があります。自分の決意に自信を持ち、堂々と「退職します」と伝えましょう。
7. 引き留めに対処する
退職意思を伝える際、上司からの引き留めや反応にどのように対処すべきかについても考えます。
上司が「考え直してくれ」、「何が不満なんだ」、「もう一度一緒に頑張ろう」、「君が必要だ」など、普段とは違った態度や言葉で引き留めを試みることがあるかもしれません。
こうした場面で大切なのは、渋った表情をせずに、自分の退職の意志が固いことを明確に伝えることです。相手に「意志は固いです」というメッセージをしっかりと伝え、その姿勢を貫くことで、上司も引き留めを諦め、円満な退職手続きを進めてくれるでしょう。
退職の意思を伝える前には様々な心配や不安が頭をよぎるかもしれませんが、実際に伝えてみると案外簡単に感じることがあります。「あっさりと伝えられた」という経験がある人も多いでしょう。
どんなに甘い言葉や引き留めの試みがあっても、自分の強い意思を貫くことで、円満な退職プロセスを進めることができます。
退職の意思を早めに伝える理由
早急に退職の意思を伝える理由についても検討しましょう。
1. 企業側の視点から見た退職の影響
退職の意思があるのであれば現職の会社へは早めに伝えるべきです。何故、早めがよいかと言うと、それは企業側も退職者が出ることで準備が必要だからです。
退職によってその社員がいなくなるということは、その人がこなしてきた仕事を他の社員へ振り分けたり（引継ぎ計画）、新たな人材を社内・外から確保したり（人員計画の再考）、場合によっては経営戦略も見直さなければならないことがあります。
だから、退職者が出た時、企業は早急に次の一手を打たなければなりません。 企業も準備を進めていきますが、期間（時間）とコスト（お金）がかかります。同じように転職で中途採用しようと思えば早くても入社まで3カ月、良いご縁がなければもっとかかります。
2. 早期伝達のメリット
退職の意思を早めに伝えることは、退職する自分自身にとってもメリットがあります。
退職日から逆算し、残有休を使って最終出勤日が決まります。退社までの過ごし方の計画が立てられるようになり、退職までの過ごし方を考えることができるようになります。それが、意思を伝えるまでの期間が後にずれればずれるほど、その準備の取り掛かりが遅くなり、周りにも迷惑をかけることになります。
法的には2週間前までに伝えることで問題ないですが、今の勤務先の就業規則をよく読み、いつまでに伝えるべきかを考えましょう。
最後に
いかがでしたか。
上司に退職の意思を伝えることは、重要なステップです。退職を決断したなら、早めの行動が円滑なプロセスにつながります。
会社や上司、同僚に迷惑をかけずに退職を進めるために、意思を早急に伝えることが大切です。
そして、勇気を振り絞り、自分の決断を自信を持って伝えることが大切です。これからの新たなスタートに向けて、前向きに進んでいきましょう！
