外資系企業への転職と聞くと、憧れを抱く人もいるでしょう。
しかし、外資系企業について知っておくべきことがたくさんあります。
私は3ヵ月という短い期間だけ外資系企業で働いた経験を持ち、その中で学んだ9つの教訓をお伝えしたいと思います。
この記事は、外資系企業でのキャリアを考えている方々に向けて、実際の経験を通じて伝えたいポイントに焦点を当てています。
外資系企業とは
外資系企業は、外国法人または外国人が一定の出資を行っている日本の企業を指します。一般的には「外資系」や「外資」と略して呼ばれます。
この点を理解することは非常に重要です。外資系企業であっても、日本法人として設立されており、日本の法律(会社法など)に従う必要があります。
言い換えれば、外資系企業での雇用は、本社との直接の雇用関係ではなく、日本法人との雇用関係になります。
また、外資系企業は本社が存在する国によって異なる特徴を持っています。本社が異なれば文化や働き方にも違いが生じます。外資系企業への転職を検討する際には、本社の国も考慮することが重要です。
海外でのキャリア構築を考えている方へ
海外で働くことに憧れ、「外資系企業で働きたい!」と考えている方がいたら注意が必要です。
海外で働くチャンスを求めるのであれば、外資系企業ではなく、日本国内でもグローバルに事業展開している大手企業への転職を検討することをおすすめします。
日本人が外資系企業(日本法人)に入って海外勤務を考える場合、英語力は当然で、高いビジネススキルと経験が必要です。それなら、現地に行き、現地で採用を狙う方が近道かもしれません。
ただし、出張としてであれば海外で経験を積むことは可能です。私自身も短い在籍期間ながら、ベトナムに出張し、経験を積むことができました。
外資系企業で働いて学んだ9つ教訓
外資系企業で働く中で、私は以下の9つの重要な点を実感しました。
これらの教訓は、外資系企業で働く際に注意すべきポイントです。外資系企業への転職を検討する際には、ぜひ参考にしてください。
教訓①:人の流動性が高いこと
外資系企業で感じた特徴は、人の流動性の高さです。
毎月、新しいメンバーが加わり、同時に誰かが退職する光景が日常茶飯事でした。このスピーディーな入れ替わりは、積極的な採用が行われていることを示しています。
外資系企業では、退職者に対してあまり引き留めることはなく、「去る者追わず」の姿勢があるように感じます。それは、個々のキャリアや仕事の選択を尊重する文化が根付いているからだと思います。
外資系企業を経験した人々は、同業他社への転職が多く、同じ業界内を転々とする人も多いです。
教訓②:役割や肩書きの重要性
外資系企業では、個人の役割や責任が明確に決められ、それに基づいて行動します。
経験や実績に関係なく、入社時から立派な肩書きがつきます。私も経験が浅いながら、「フィールドアプリケーションスペシャリスト」として採用されました。肩書きがあることで、自らのポジションを自覚して仕事にあたることができ、責任も感じました。
日本企業の場合、主任、係長、課長といった役職しかないことが一般的です。外資系企業のように役割や肩書きが明確であることは、自分の成長を後押ししてくれると思います。
教訓③:入社後のフォローは期待できない
外資系企業では、入社後の丁寧なフォローや教育体制があまり整っていませんでした。新しい環境に自ら適応し、積極的に学ぶ姿勢が求められます。
最初の数週間は、上司や同僚からのサポートを受けながら仕事を覚えましたが、すぐに独り立ちさせられ、以降の基本的な業務スキルの向上は、自己学習に依存していました。
従って、外資系企業では受動的な人は向きません。自ら積極的に情報を収集し、スキルを高めることが求められます。
教訓④: 雇用の不安定性と突然のリストラリスク
外資系企業で働く魅力には数多くの要素がありますが、その一方で雇用の不安定性と突然のリストラリスクという現実も存在します。
これは知っておくべき事で、私自身も最終面接の際に面接官からこの現実を伝えられました。
実際、私が入社してからも別の部署でしたが部署が急に消滅して、他社に売却されることを目の当たりにしました。
安定感を求めるなら外資系企業では無く、日本企業です。日本の企業であれば、突然のリストラリスクや他社に転籍させられるリスクは小さく、同じ企業内の配置転換によって雇用だけは守ろうと努力してくれると思います。
なので、外資系企業に入社するのであれば、そうなる未来も頭の片隅に入れ、自らの市場価値を高め、不安定な状況になっても対応できるように準備しておく必要があります。
教訓⑤: チームプレイよりも個人プレイ
外資系企業では、成果を出す際には個人の裁量が重視されます。例えるならば、個人事業主が集まって、組織が作られているようなイメージです。
チームで結果を出すという思考ではなく、個人の自主性が尊重され、自身の目標を達成するためにチームがある印象でした。
だから、外資系企業では主体的に行動する姿勢が求められます。他者と協力することもありますが、個人の裁量で仕事を進め、成果を出すことが評価される環境であると感じました。
教訓⑥: 完全な成果主義
外資系企業での評価は、成果主義に基づいています。
成果に応じて支給される特別な賞与、「インセンティブ」が一般的であり、目標を達成すれば高額の報酬も期待できます。
外資系企業って聞くと高給なイメージを持つ人もいると思いますが、それは幻想かもしれません。外資系企業では成果を出せない人には厳しいです。
逆に、成果を出し続けられる人の報酬は驚くほどです。成果を上げることで、数百万円という高額の賞与を得ることも可能でした。
個人の業績に基づいて支給されるインセンティブをモチベーションとしている社員が多くいました。
教訓⑦: 自由で多様な考えを尊重
外資系企業では、多様な文化や考え方が尊重され、個々の意見が重要視されます。社員の多様性が組織の強みとなり、自由で柔軟な発想が奨励されます。
オフィスでは、個性的なスタイルや考え方を持つ人々が多く、それが創造性を引き出している印象です。異なるバックグラウンドを持つ人々が共に働くことで、新しいアイデアが生まれる環境でした。
教訓⑧: 出世には限界がある
外資系企業では、日本法人でも経営層の多くが本国からの出向者で占められています。
出世の可能性はありますが、本国出身者との競争が激しく、発言力を持ち、自己主張できるスキルが求められると感じます。それが無いと出世は難しいです。
他者との協調性も重要ですが、自己ブランディングと個人の強みを活かすことが出世につながります。
教訓⑨: 英語は抵抗がないこと
外資系企業では、入社時に英語のスキルを求められますが、全員がビジネスレベルの英語が必要かと言うと、そうではありません。
ただし、外資系企業でキャリアアップを目指すならばビジネスレベルは必須です。
バックオフィスのスタッフにおいては英語が全く話せない人もいます。外資系企業と言えど、日本の企業であり、ビジネスの相手は日本人です。
入社時の英語力よりも、英語に対する学習意欲や抵抗がないことが重視されます。
外資系企業では、ラインの上司は日本人であることが多いですが、総括している上司は外国人であることが一般的です。私の場合は韓国人でした。なので、英語を使ったメールは日常的に使いました。
最後に
いかがでしたか。
外資系企業への転職に限らずですが、重要なことは「転職目的をはっきりさせること」だと思います。
外資系企業と日本企業では、文化や求められるスキルに違いがあるため、自分の目的や志向をしっかりと考え抜く必要があります。
最初に転職の目的を明確にすることで、入社後に違和感を感じても冷静に対処することができます。そうすることで、私のようにミスマッチが原因で、3ヵ月で退職することは防げると思います!